日本の大手航空会社は、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、SDGs)に向けてさまざまな取り組みを行っています。以下にSDGsに関連する取り組みの一部を紹介します。

ANAは2030年までを「行動の10年」とし、SDGsへの取り組みを加速させています。具体的な取り組みを以下に示します。

  1. SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の活用 植物油、糖、動物性脂肪、廃棄バイオマスなど持続可能な供給源から製造されるSAFの活用
  2. 航空機の技術革新 航空機の技術革新により開発された燃費効率にすぐれたボーイング787型機やエアバスA320型機/A321neo型機をはじめとする省燃費機材や改良型エンジンの導入
  3. オペレーション上の改善 運航方法の工夫や定期的なエンジン内部の洗浄による消費燃料の削減、機内備品の軽量化による燃費の向上
  4. 排出権取引制度の活用 上記の手法を用いても削減できない排出量については、排出権取引制度を活用しています。

2022年度には、ANAが環境配慮への一環として10月から「ANA Green Jet」の運航を開始しました。この「ANA Green Jet」では、他の機材に先駆けてサステナビリティをテーマとした機内サービス品の活用や運航オペレーションなどの施策を実施しています。様々な施策の中でも、CO₂排出量削減に向けた取り組みとしては、機体の空気抵抗低減による燃費改善およびCO₂排出量削減が期待できる「サメ肌」を模した「リブレットフィルム」を試験装着し、耐久性等を検証しています。

JALグループは、航空運送事業者としての責務を果たすため、CO2排出量の削減をはじめとするさまざまな取り組みを着実に推進すべく、2020年6月に2050年までにCO2排出量実質ゼロ(ネット・ゼロエミッション)を目指すことを宣言しました。具体例としては以下のようなものがあります。

  1. 省燃費機材への更新 2019年9月の国内線へのエアバスA350型機就航に加え、2012年から国際線に就航していたボーイング 787型機を、2019年10月から国内線にも就航させました。これらの機材は省燃費かつ低騒音であり、従来機と比較してCO2排出量を15%~25%程度削減することができます。
  2. 運航の工夫 安全運航の堅持を大前提に、運航中の操作のタイミングや操縦の工夫によるエコ・フライトの取り組み、運航する機体の軽量化や定期的なエンジン内部の洗浄による燃費の向上など、 CO2削減に向けたさまざまな工夫を行っています。
  3. SAFの活用 米国のSAF製造会社Fulcrum社への出資、国内で初めて製造に成功した国産SAFの定期便での利用、国産SAFのサプライチェーン構築に向けたパートナー企業との協働など、SAF利用のリーディングエアラインを目指しています。
  4. 排出権取引への対応 ICAO CORSIAへの対応に加え、独自の取り組みとして、ご搭乗いただくフライトで排出するCO2を、お客さまご自身でオフセットできる選択肢として、「JALカーボンオフセット」をCHOOOSE社の協力の下で提供しています。

食品廃棄物削減に対し、JALは独自の取り組みをしています。機内ではすべての路線のメニューカードや機内エンターテインメントの機内食ご紹介の動画などに「おいしく食べきっていただくことは環境に優しい」と明記し、お客さまへ食べ残し削減への協力をお願いしています。食べ残しの食品は、国の検疫のルールにより、全量焼却することが世界的に定められており、堆肥や飼料などへのリサイクルは行えないためです。

以上のように、航空会社はSDGsに関連する取り組みに力を入れています。航空業界を目指す上で知っておきたい知識ですので、企業研究として各社のウェブサイトを覗いてみてください。あなたの興味と探究心が、地球の持続可能性を実現するための新たなアイデアを生み出すかもしれません。これからの10年がSDGs達成に向けた「行動の10年」です。あなた自身がどのようにこれらの目標に貢献できるか、考えてみてください。

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